「やっぱりダメ・・・。
もう能力はほとんど残ってないんだ」




宙を飛翔しながら手をみつめる麻弥。
その時、浮き上がってきたエクリプスソードが話しかけてきた。

「私を使ってください。
ほとんどパワーを使い果たしていますが、あと一撃、
あの光の帯くらいなら切断することが出来ます」


エクリプスソードを掴む麻弥。
怪物は彩にジワジワと接近し続けていた。



「奴は魔王に守護されているので
奴の本体に攻撃を加えることは不可能です。
とにかく今はあの光の帯を切断することが最善の策です」


「そんな・・・簡単に言うけど」



生命力を吸収され、みるみる間に衰弱していく唯達。

「一撃しかダメなの?」

「そう、1回限りです」

「彩と化け物を繋ぐ帯を断ち切れば
魔王復活を阻止できるのね?」


「そうです、魔王復活には条件があって
星の配列、座標、地軸の傾斜角が最適の状態でなくてはなりません。
今、この時間の復活を阻止すれば、あと1万2千年は大丈夫でしょう。
そのうえ、妹さんの命も助かります」




さらに生命力を吸収されていく唯達。残された時間はわずかしかない。

「そうすれば彩は助かるかもしれないけど
代わりに唯さん達がこのまま魂を吸い取られてしまうわ」


「それは止むを得ないでしょう。
全人類の生命と引き換えですから・・・
彼等も本望だと思います」


「逆にあの人達を助けたら魔王は復活してしまうのでしょうけど
魔王復活が即、全人類の滅亡につながるとは限らないのでは?」


「確かに断言はできません。しかし、魔王が復活すれば
全人類にとって極めて深刻な事態がおとずれる事は間違いありません。
とにかく、もう時間がありません。早く!」




エクリプスソードを構えて決断を下そうとしている麻弥。
まだ決めかねている。

「もう、あなたに対して私は何も言う事は出来ません。
非常につらい選択でしょうが
左の一本の太い帯か、右の細い四本の帯、どちらか一方を選んでください」




さあ、どちらを選択しますか?



左の一本の帯 or 右の四本の帯