麻弥はエクリプスソードを投げ、
彩と怪物を結ぶ帯を断ち切った。
「グゥワアアアアッ」
怪物は元の中心位置に引き戻された。
「しまったあ、もう接続し直す時間は無い」
なおも吸収され続け、瀕死状態の唯達・・・。
見ていられなくなる麻弥。
「なんとか、なんとかしなければ・・・」
麻弥は無我夢中で怪物へ突進した。
「もう、やめてぇっ!」
「ダメェッ、お姉ちゃん!」
怪物へ突っ込もうとする姉を制止するため、
柱を破壊して飛び出す彩。
怪物が退いた事で自ら拘束を解く事が出来たのだ。
バシィィィィィッ!!!
身を呈して麻弥を止める彩。
「彩・・・」
突然の事に、驚きの声を発する麻弥。
「あの人達は私が助けます」
代わりに怪物へ突進する彩。
「待って!」
弾かれた麻弥は声を発しつつ見送る他なかった。
彩は怪物へ体当たりした。
ドグゥワアアアッ!!
大音響と閃光を発っした後、
吸収されかけていた戦士達の生命力は持ち主の元へ逆流し、
光の帯は切断された。
しかし、肝心の彩は怪物と闇に飲み込まれてしまっていた。
姉を助けたい一心で、自身にパワーが送られていた事を忘れ、
結果として儀式を成立させてしまったのである。
「フォッ、フォッ、フォッ、
まさかこのような形で魔王復活が成就しようとはな・・・」
彩と怪物は融合し、怪物の頭部にコア(核)が形成されると
その内部に新しい生命体が誕生した。
「なぜ、私達、こんなめに合わなければならないの?
人間って、いったいなんなの?」
涙をためてやり場のない口惜しさを吐き出す。
そんな麻弥の脳裏にかすかに彩の声が聞こえてきた。
「お姉ちゃん悲しまないで、
お姉ちゃんは最善を尽くしたのだから・・・。
私も最後に出来る限り抵抗してみます。
私が私でなくなる前に・・・」
闇のエネルギーに包まれて大地に吸い込まれていくコア。
生き延びた戦士達が集まる。
そして落胆する麻弥に唯が話しかけた
「妹さんは取り込まれただけで、消滅したわけではありません。
きっと取り戻すチャンスはあるはずです」
「うん、まだかすかに感じる。彩の意識を・・・。
私、必ず助け出す」
少し強がって自分を元気づけるかのように答える麻弥。
空気が振動し、周囲が異様な闇に包まれ始める。
「もう時間なさそうなので、皆を一斉にジャンプさせます!
誰がどこへ飛ぶかはわかりません・・・」
万全の状態でない絵美は自信なげだったが
それでも彼女は悟られぬよう、精一杯の力強さを見せたつもりだった。
「ああいいよ、
どこへ飛ばされても、ここよりは安全そうだからな。
でも、できればリゾートにしてね・・・」
と答える理沙は、まだ癒えぬ苦痛を堪えて微笑んだ
コアが完全に大地に飲み込まれると途端にその異空間は収縮し消滅した。
間一髪、戦士達はランダムに空間移動していた。
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