茜の脳裏に閃光が走ると、少し前に受けた電撃に近い衝撃の後、
全身が光に包まれるような感覚を覚えた。



「何なの、スゴイ情報が流れ込んでくる・・・、
この学園内の全てが・・・、ネットワークの全ての情報が・・・、
今、私の中にある・・・」




「そうです、貴方は電脳世界にシンクロし、
コントロール出来る能力を身につけたのです」


「わかったわ、今は全てが理解できます・・・、
貴方の存在が何なのかも・・・」


「どうなっているんじゃ、
マシンが言うことを聞かん!」

何一つ思い通り動かなくなった機械を前にして手熊は声を荒げた。



ビュン、ビュビュン! バシィッ!

「ギェェェェェッ!!!
クソッ、ただのコムスメじゃなかったってことか・・・」


洗脳器を払った後、茜は拘束具の管を操り、手熊に打撃を与えた。
よろけた手熊は硫酸タンクの前へ這いつくばった。

「許さない!
私や私の友人をヒドイめに合わせた償いをさせてやる!」




ボンッ!

茜が操る管の先端が硫酸タンクを叩きつけ破裂させた。
タンクから噴射した硫酸が手熊の左半身に降り注いだ。

「グワぁぁぁぁぁッ!!!」

焼けただれた半身を必死に動かし、手熊はパソコンのキーを叩いた。



「神よ、サタン様、お助けください!」
カチカチカチッ!

間もなくして、ディスプレイに不気味な顔が表示された。

「呼んだのはお前か!」

「特殊なチカラを持った人間が我らの邪魔をしております。
奴らからネットワークを取り戻してください」




「何・・・?」
茜はその何者かの声に戦慄を覚えた。



「茜さん、厳しい状況になりました・・・、
サタンが動き始めたのです。サタンの処理能力は
地球上に存在する最高のCPUの数千倍です」


「どうすればいいの・・・?」
茜は動揺した、なぜならネットワークに存在しているはずのソレに関する情報が
どこにも存在しないばかりか、手熊がソレにアクセスしたパイプには
一切の接触ができないプロテクトが施されていたからである。

「とにかく早く逃げてください、接続を絶って機械から離れるのです。
さもなくば脳を破壊され廃人になってしまいます」


「出来ないよ!」

「えっ・・・、なぜですか?」

「絵美と理沙が音楽教室で襲われているの、助けなきゃ」

「・・・・・、わかりました、
私が可能な限り防いでみます、その間に急いでっ」





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