なんとか監視カメラのコードに手をかける事が出来た絵美はそれを引き千切った。 そしてコードの先端を額に当てて「音楽教室」をイメージした。 パシィィィィィッ! 閃光とともに姿を消した絵美。 「しまった、電線を伝って逃げやがったか・・・ 空間の属性が反転していても電線などを流れる 外部からの電子的接続は遮断できない。 そこだけは外界が存在しているようなものだからな」 「ハッ、ここはどこ・・・ 私はジャンプ先に音楽教室を念じたはずなのに・・・」 暗闇の中にポツリと浮かんでいる絵美。 すると彼女の目前に天使のような姿をしたひとりの少女が現われた。 「絵美さん、ですね・・・」 「えッ、誰・・・?」 「私は、マイン・・・」 「マイ・・・、貴方、舞って言うの?」 「私は私のもの、私自身という事です」 「・・・・・?」 「この島の地下で助けを求めている人がいます。 これから、この島で起こる重大な事に関わる人物です。 その人の名は唯といいます」 「えッ、唯さんが・・・?」 「唯さんも貴方と同じ超能力者です。 実は彼女が貴方とのコンタクトを欲しているので、 私は交信の仲介をするためにこうして貴方の前に現われたのです」 「交信の仲介って・・・?」 「瞬間的にネットワークの中へ入った貴方に、 この機会を利用すれば初めてのテレパシー交信を 経験していただけるものと考えたからです では、これから唯さんのテレパシーを繋ぎます」 困惑の表情を隠せない絵美にどこからともなく声が聞こえてきた。 「絵美さん、絵美さん・・・・・、 もしこの声が届いていたら応えてください」 声とともに地下牢を映す監視カメラの画像が絵美の目に飛び込んで来た。 唯は暗い部屋の中心で鎖に繋がれていた。 「絵美です、聞こえています」 声に出して応えてみる絵美。 「良かった、受信していただけたのですね。貴方が 人類救済を託された戦士の一人だということはわかっていました。 実は私もそうなのです。 私達をここへ派遣した組織こそ違えど目的は同じ、 すなわち私達は同士なのです」 「・・・、それで私はどうすればいいの?」 「もうひとりの戦士、理沙と合流し、 今、こうして地下牢に囚われている私を救い出して欲しいのです」 「理沙さんも戦士なのですか?」 「そうです、私達の敵は想像を超えるほど強大な相手です。 私達は力を合わせて立ち向かう以外ありません。 そのために、私の能力も役立てて欲しいのです」 「・・・わかりました、やってみます。それで、 3人が力を合わせて何を倒せば人類滅亡を阻止できるのですか? 唯さん、貴方はそれを知っているの?」 「はい、私がかつて師と仰いだ者が私達の究極の敵です。 しかし彼を直に倒すのは極めて困難です。 そこで彼が行おうとしている魔王復活の儀式を食い止めるのが 最善の策だと思われます」 「それはどうやって・・・?」 「彩という鍵を握る同級生が、やはりこの地下のどこかに囚われています。 その子を奪還すれば、おのずと儀式は阻止できるのです」 「ええッ、彩が、なぜ・・・?」 「彼女は色々な意味で特別なのです」 「特別・・・、ですか・・・? そうそう、特別と言えば、貴方の能力は何なのですか?」 「予知と読心と交信、防御と治癒の魔法も少し・・・」 「スゴイですね、役に立つなんてもんじゃありませんわ。 ところてで私が合流する理沙さんは今、どこにいるのでしょうか?」 「わかりません、彼女は武闘派なのでテレパシーは 滅多に通じないのです」 「フフッ、知ってますわ、彼女、鈍そうですものね」 「人類の未来を左右する悪魔の儀式までもうあまり時間がありません、 勝手な事を言って申し訳ないのですがお願いします」 「あッ、そうそう、貴方との交信を手伝ってくれた 舞って子を知っていますか?」 「舞・・・、それは多分、マインと呼ばれている・・・」 パシィッ!!! 唯との交信はそこで突然に途切れた。 |
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