真・魔界島
第3話

その地下室は思ったより広く、久美が置かれた祭壇を中心に教室二部屋分ほどもあろうかと思えるくらいの空間を有していた。その壁はまるで生き物の体内のような表面で出来ていて、部屋中を不気味な空気で満たしていた。黒装束の人物が三人、その暗い地下室の隅から現われると久美と彼女の置かれた祭壇を囲んだ。それを見はからって唯が三人に呼びかけた。


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「今日、特別に選ばれし者達よ。汝らにこの生贄を与える。この娘と交わり、闇の王子を導く道と成るのだ」

「はい、唯さま」黒装束の三人が祭壇に上がり始め、久美に手を伸ばした。

「何するの?!」久美が声を発し、それを見ていた彩は身を乗り出した。

しかし彩の手は背後の唯に捕まれ、彼女はその光景を見ているしかなかった。唯はそんな彩の耳元で告げた。

「よくご覧なさい。これは闇の王子"サタムノイヤ"様を召還する儀式。いずれこれと同様のことが、その闇の王子によってお前にも行われるのだ。魔王を甦らせるためにな・・・」

「え・・・」

それを聞いた彩は凍りついた。まるで祭壇の上の久美が自分自身であるかのような錯覚の中、彼女は意識下でその儀式を仮想体験させられることとなった。



「いやだっ、やめて!」

手足を鎖でつながれた久美は身をよじらせて必死にもがいた。すると彼女の目に黒装束の男の一人の顔が映った。

「校長!!!」思わず声をあげる久美。

「えっ、校長まで・・・」彩も驚いた。

「何を驚いているの? あたりまえじゃないの。ここを約束の地にするためには、まずここの最高責任者から仲間になってもらわねばならないでしょ」

唯はそう言うと彩を背後から抱きかかえた。

「あ・・・」彩が振り返ると唯は異なる生命体へと変化しつつあった。

地下室の天井から伸びてきた蔦のようなものと合体し、植物の樹のような物の一部と化していたのだ。さらにはそこから幾本もの蔦が彩の身体に巻きつき、彼女を宙に浮かせていた。

「何が始まるの?」彩は強い不安と恐怖に包まれた。



男達の手で辱めを受けている久美にとってはまさに地獄だった。

「やめてぇぇぇぇっ、もういやあ! 先生! やめてください!」

久美は泣きながら懇願した。それでも校長の榊原は、まるで孫のように歳の離れた久美の若いつぼみの肌を執拗に撫でまわした。榊原の脳裏には過去の坂本 唯との出来事と、ひとつの思いが巡っていた。

「若い娘をこんな風にもて遊ぶ事は、私の秘められた確かな欲望。唯さまはそんな私の封印を解いてくれたのだ。この後、私がどうなろうとも、私はこの瞬間のために全てを捧げられる事を幸福に思う。これは私自身が望んだ事なのだ」


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