そこは束の間の静寂に包まれた。
魔物から解放された唯(YUI)がMAYAの腕の中で正気に戻った。

「MAYAさん・・・、ですか。私、助かったのですね」



「フェッ、フェッ、フェッ、馬鹿め。助かってなんかいないぞ」
メディウスの怒りに満ちた声。
「まさか負空間が破られるとは思わなかったが、これでお前達も
切り札を失ったわけだ。チカラとチカラの勝負でもお前達なんぞ
問題にならぬわ」


ズー・・・ンッ!!!

「何っ? 今度は超重力域か!」翔(SHOW)が叫んだ。

メディウスの周囲を今度は重力の壁がとり巻いていた。
そしてその壁はMAYA達に押し迫っていた。



唯(YUI)が立ち上がった。
「これは比較的単純な魔法なので私が防ぎます」
そして呪文を唱え始めた。
「光のチカラよ、我が楯と成り、闇の魔力を防ぎたまえ」

バシィッ!

唯(YUI)の両手から放射されるエネルギーが重力壁に喰い込んだ。

「フェッ、フェッ、ついさっきまでグッタリ倒れていたお前が、
この魔力を防ぎきれるものか!」


あきらかにYUI(唯)は押されていた。
重力壁は唯(YUI)の目前にまで迫り、彼女を飲み込もうとしていた。

「フェッ、フェッ、もうおしまいか、物足りないぞ。もっと楽しませろ!」

「くっ・・・・・・、
かつて私は誤った者を師と仰ぎ、道を踏み外してしまっていた。
真実を見抜けなかった愚かさを悔い、私は自ら眼を閉じた。

二度と幻影に惑わされる事がないよう、
全て心の眼を通して見ることにしたのだ。
真に信頼し合える仲間と出逢える日までは・・・と。

今、私は仲間を得た。そして今こそ心と眼を解き放つ時と知った」




カッ!!! 唯(YUI)の両目が見開かれた。
その瞬間、彼女の全身はオーラを発し、MAYA達にまで及んだ。

「自ら封印した真の光と闇のチカラ、今こそ最大限に解放する時」

ズゥゥゥーンッ!!!

唯(YUI)が発する魔力で重力壁が後退した。

「フェッ、これは何ということだ。こんな事があるのか。
これが人間の持つ本当のチカラなのかぁ?」


「おおっ、何かチカラがみなぎってきたぞ」翔(SHOW)が拳を握り締めた。

「グロウセイバーが勝手に・・・」
MAYAの手から実体化した光の刃がエクトプラズムを高く舞いあげた。
唯(YUI)の発するオーラがMAYA達にも波及していたのだ。



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