「何っ? 何が起こったの?」
唖然とした表情で手を見つめるMAYA。
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すると突然
「それが貴女の秘められた本当の能力(チカラ)です」
その声はMAYAの脳へ直接語りかけてきた。
「えっ・・・」思わず周囲を見回すが何もない。
「私です。唯(YUI)です。夢の中でお会いした」
戸惑いながらも、MAYAは記憶の中からYUIを探り当てた。
(あの「試練の迷宮」は夢でなく現実だったのだろうか、
それとも、これも夢なのだろうか・・・?)
「既に試練の迷宮を克服した貴女とはこうして直接コンタクトできるのです」
「・・・・・・」
困惑するMAYA。夢の中の出来事を反芻し、現実と結びつけようとするが、
思考が空回りする。
「あなたが今より、一段と覚醒し、完全に自己の能力に目覚めたなら、
伝説の光の刃(グロウセイバー)を手にすることが出来るはずです。
そしてその時こそが闇の王子を倒せる唯一無二のチャンス。
つまり、あなたが覚醒を果たした後、
初めて魔王復活阻止と彩さん救出が可能となるのです」
「そうだ。妹は、妹はどこに居るの?」
「ハッキリとはわかりませんが、私にはとても近くに感じられます。
きっと私がいる場所から、そう遠くない地下迷宮の中です」
「私はどうすればいいの?」
「空間移動が出来る協力者が居るので、そこへ迎えに行ってもらいます。」
「空間移動・・・? 協力者・・・?」
「そう。この人類の危機に対処すべく、
密かに世界中から強力な超能力者達が潜入していたのです。
その人達の中で、今もなお生き残っている何人かが・・・あっ!!!」
「何っ? どうしたの?」
突然YUIとの交信が途絶え、不安に包まれるMAYA。
「フォッ、フォッ、フォッ、馬鹿め、この時を待っていたのだ。
外界とコンタクトする時、自ら結界に穴をあけることになる」
「あううううっ・・・」
首を掴まれ苦しそうにもがくYUI。
「メディウス。あとはお前にまかせたぞ。好きなように料理しろ」
「はい。かしこまりました王子!」
ニタリと不気味に笑う魔物。