その頃、教室でひとりノートパソコンに向き合っている生徒がいた。 彩のクラスメート「茜」だった。 「えーっとぉ、江戸時代・・、将軍・・っと、それからぁ・・・ どーも歴史って教科は苦手なのよねぇー・・・」 学園きっての秀才とも呼ばれる茜は放課後の教室で一人、 宿題の資料をインターネットで検索している最中だった。 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピピッ、ピッ、ピッ! 「えっ、な、何なのぉ? ウイルス?」 ネットに接続している真っ最中のパソコンに突然、 何か天使にも似た少女を連想させる「得体の知れない動画」が割り込んで来た。 かつて経験したことの無い現象に茜は戸惑っていた。 やがてモニタ上に映し出された少女の画像が静かに語りかけて来た。 「茜さん・・・、茜さん・・・、力を貸してください・・・」 「ウソッ、マジ? 話しかけてるよ、コワぁ、なんで私の名前を呼ぶの?」 「茜さん・・・、貴方の・・・力を・・貸してください、 ハッカーとしての・・・貴方の・・たぐいまれな能力を・・・」 「何言ってんのよ、誰のいたずらぁ? 音声認識してるんでしょ」 「悪戯では・・・ありません・・・、 今、この島の地下で・・とても恐ろしい事が・・・起きているのです。 貴方の級友や・・・、貴方自身・・・・・、ひいては・・・ 全人類の・・・未来を脅かす危機が・・・迫っています」 「・・・・・・・・」 「これから・・・地下牢の映像をお見せします・・・、 私は・・・長くこうして居られない・・ので・・・ 映像は・・・途中で切れて・・・しまうかもしれませんが・・・、 可能な限り・・・映像を・・送り続けてみますので・・・、 ご自身の眼で・・・事実を・・お確かめください」 |
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